百年の森づくりの会が動き出して27年経ち、NPO法人となって17年になります。
当初からの会員は、かなりのお歳になっています。そこで、新たな志を持って、会の運営をし、若い会員を結集しなければならないと考えています。
かつて、さまざまな開発で賑わった山地ですが、今は、林業をはじめとする産業の撤退により放置された荒地がたくさんあります。自然にもどすためにさらに放置した方が良いという意見もありますが、人間の手で、山奥まで杉・檜が植えられていてそう簡単には戻りません。小鳥がさえずり、動物たちが行きかい、さまざまな植物が咲きほこる自然になるには大変な時間が必要です。ですから、天然林を残しつつ、人工林として手を加えた森は、手を加え続け、天然に近づけるか、人が活用できる場に育てる必要があります。人間も自然界で生きる動物ですので、人間も共存できる自然は大切に育てなくてはなりません。
そこで、今後の「森づくり」として、積極的に、楽しめる森づくり・自然保護活動を心掛けようと考えています。
引き続き、和名倉山のブナの保護、長瀞宝登山の植栽管理、福島県田村市における復興支援事業を行なうとともに、これらの地域、活動を楽しいものに育て上げなければなりません。 さらに、秩父市からお借りしている、旧大滝小学校三峰分校を活用した事業を新たに始めます。都会ではできなくなった、自然と共有した遊びを盛り込んだ森づくりに力を注ぎたいと思っています。 四代理事長 高岡正彦
NPO法人百年の森づくりの会は、会員皆様の活動支援、そして行政はじめ各支援団体のご協力により、荒川流域である和名倉山・山吹沢・大陽寺・長瀞宝登山の4か所、および東日本大震災復興支援のため福島県田村市1か所で、おかげさまで広葉樹を中心に約7千本植樹することができました。
これからも豊かな森づくりのため、皆さんと活動を続けてまいりましょう。
三代理事長 小林 公彦
埼玉の母なる川「荒川」の水源にブナやミズナラなどの落葉広葉樹を植えて緑のダムをつくる。百年後の子孫のために。
緑のダムは腐葉土でできた保水力に優れたスポンジのような土壌だ。樹木の生育を促し木の根と一緒に土砂崩れを食い止め国土の保全を図る。島国で山国の日本は山が荒れれば農業も漁業も壊滅し日本は沈没する。林業は国の最優先の事業であることを知らない人があまりにも多い。
緑のダムは大量の水を蓄え、その水は水滴となって絶え間なく苔や木の根から滴り落ちて川涸れを防ぎ、食物連鎖のはじめとなる植物プランクトンの生育に欠かせないフルボ酸鉄を川に運び、海に注いで海藻の森林を育て、海藻の森林は魚介類の宝庫となり同時に炭酸ガスを大量に吸収して地球温暖化を防止する。
落葉広葉樹は繊細で幽玄な四季の景観を演出し、我々の眼を楽しませ心を癒してくれる。森林浴の効用はつとに知られているが、それ以外でも治療や教育面でのアプローチが始まっている。昔から樵に業病なしといわれる。
すべての日本人は森林から大きな恵みをいただいて生きている。今まで緑のダムは誇り高き山村の人々によって守られてきたが、山村は高齢化が進み若者が村を去り過疎化が加速され守る力を失った。
この現実を知り我々は立ち上がった。百年の森づくりの活動を各地でおこし、みんなと力を合わせて豊かで清らかな水を湛える母なる荒川を蘇らせたいと切に思う。 (初代理事長 内藤勝久 記)